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工務店広報の仕事内容は?経験者が語る業務一覧、やりがいとつらい思い出
公開日:2022/07/07
最終更新日:2024/10/15
こんにちは。
工務店、リフォーム会社のホームページ集客支援のゴッタライドです。
工務店の広報担当は、どんな仕事をしたらいいのか?本当の役割は何なのか?
専任の広報担当を、社内に置く工務店が増えている中、今この問題が浮き彫りになっています。
どんな仕事をすればいいか、社内の誰を巻き込んだらいいか、広報担当者が分かっていない。
また、経営者も広報にどれくらい予算を使えばよいか、広報の仕事をどうやって評価したらいいか、答えを持っていないこともあります。
そのため、工務店集客には広報が必要と言われますが、広報担当者の能力を活かせていないことも多いでしょう。
本記事は、元工務店広報と対話をしながら、「広報がすべき仕事」について分かりやすく解説します。
なお、体験談をもとに書くため、他の工務店広報とは異なる部分もあるかもしれません。
参考程度に読んでいただけたら幸いです。
工務店広報の仕事について、ぜひ理解を深めてください。
元工務店広報が実際にやってた業務内容
はじめに、実際に元 工務店広報がやっていた仕事内容を簡単にご紹介します。
業務は主にこの3つです。
- 各種デザイン
- WEB、SNS運用
- イベント運用
広報の仕事は、小さなことから大きなことまで様々です。
また、時期によって忙しさにかなり波があり、慣れるまでに時間がかかります。
幅広く多くのタスクがあるので、見落としてしまいがちなものもありますが、確実にコツコツとこなすことで、集客も大きく変化します。
それでは、1つずつ詳しく解説します。
工務店広報のデザイン業務 ~つくる~
元工務店広報が年間で多くの時間を割いていたのは、「デザイン業務」でした。
考える時間と、手を動かして制作する時間がとても多かったように思います。
デザイン業務は、illustratorやPhotoshop、Adobe PremiereProなどのソフトをフル活用する業務です。
デザイン業務を内製化し、広報担当が行う工務店も多くなってきました。
内製化をすると、会社の意図が反映されやすくなったり、作業がスムーズになったりするメリットがある反面、広報担当者のスキルやセンスが問われます。
なんか違うな・・・と思っても、期待したレベルに達しないリスクもあります。
デザイナー経験者や広報経験者であれば、不安も少ないですが、初心者の場合、技術を磨くのに相当の時間が必要ですので、見極めが重要です。
デザイン業務を外注化するか、内製化するかで迷った場合、発生するデザイン業務の量と長期的に見てどちらが会社にとって得かを考えて判断しましょう。
主にこれら4つのデザイン制作を行っていました。
①チラシ(ポスティング、新聞折込)の制作
ウェブ広告よりもまだ紙媒体での販促の反響が強い地域でしたので、見学会やイベントの際に、チラシを作ることは必須でした。
また、イベントの内容によってターゲットが異なるため、ターゲットに合わせて、チラシの入れ方を変え、紙の大きさも変え、反響が出るよう常に試行錯誤が必要です。
②Youtube動画制作(撮影、編集、サムネ制作)
ホームページのセッション数を増やすため、SNSの領域を広げようということで、Youtubeをはじめました。工務店のYoutubeチャンネルを開設し、動画を1ヶ月に数本あげていました。
当時は「ルームツアー」、「リノベーション」、「平屋」に関する動画がバズっていたため、バズるネタを探しては自分で構成を考え、セリフを考え、自分で撮影・編集し、投稿をしていました。
動画の撮り方や編集の仕方も教えてくれる人は社内にいなかったので、自分で調べ、バズっている会社の動画を見ては、マネして挑戦していました。
とても時間がかかるうえに、はじめは全くと言っていいほど伸びないので、相当きつい仕事だと思いましたが、ある動画をきっかけに、数万回再生突破、登録者も伸びるようになりました。
Youtubeが成功したことについては、また別のブログで書こうと思います。
お楽しみに。
③紙の営業ツール(会社案内、事例集等)の制作
定期的に入れ替えをする会社案内や、事例紹介集などの紙資料も、社内で制作していました。
単価を安くするため、大量に発注するものいいのですが、そうすると、資料がなくなるまで時間がかかり、古いままの情報が残り続けることになり、伝えたいことがお客様に伝えることができなくなってしまいます。
現役時代はコロナの影響もあり、なかなかお客様に資料をお渡しできず、会社に資料の在庫がたくさん余ってしまったということもありました。
お客様にお渡しする資料を、自分たちで今一度読み直し、これでいいのかを定期的に確認しあって、資料の更新を積極的にしていくことをおススメします。
④SNS広告やHPのビジュアル制作
チラシをつくると同時に、SNS広告やホームページに掲載するためのメインビジュアルも制作していました。
紙媒体が強い地域であっても、SNS広告からの反響が全くないというわけでもないため、SNS広告はチラシとセットで行っていました。
チラシやSNS広告の流入先はホームページであるため、ホームページのイベントページの作り込みが必要です。
チラシやSNS広告がよくできていても、予約するイベントページが相応していなかったら、お客様は離脱してしまいます。
ホームページやSNS広告は紙媒体と違い、すぐに変更ができるので、常にGoogleアナリティクスや反響をみながら更新し続け、集客を伸ばすようにしていました。
工務店広報のWEB・SNS運用業務 ~育てる~
次に工務店広報が、時間を多く割いていた業務が、「WEB・SNS運用」です。工務店広報は、この仕事が一番苦手意識を持つ業務ではないでしょうか。
なぜなら、やれどもやれども、結果はすぐには出ないからです。
また、正解が分からないからです。
しかしその中でも、うまく成果を出すコツをお伝えします。
「WEB・SNS運用」は主に5つの業務内容です。
①SNSの投稿
当時運用していたSNSは、以下の5つでした。
- Youtube
- Houzz
InstagramやFacebookは、複数のアカウントをつくり、投稿する内容によってアカウントを使い分けていました。
デザイン業務に時間を多くとられる中で、SNS投稿は毎日コツコツと続けなければ意味がないため、多くのアカウントを1人で管理、運用することがとても大変でした。
ホームページへの流入を増やし、反響を伸ばすためのSNSですが、どれも中途半端になってしまうと、逆効果になってしまいかねません。
どれか1つだけに注力して育て上げることで、ホームページへの流入も上がり、反響も伸びていくので、多くのSNS運用で大変だという広報の方は、まず1つだけに絞ることをおススメします。
②SNS広告の投稿
デザイン業務にも被ることですが、SNS広告も育てる業務に入ります。
先ほどもお伝えしましたが、SNS広告は紙媒体と違い、一度出したら終わりではなく、公開した後も、何度も修正をすることができ、お客様のニーズに合わせてより改善できる媒体です。
SNS広告を出したらクリック率や表示回数などを管理画面でチェックし、反応の悪い広告は配信を停止し、変わりの広告を試してみるということを繰り返し行い、反響を伸ばしていくようにしていました。
SNS広告に関しては、数字の見方や配信の操作方法など難しいことが多いので、外注して全部外部にお任せしてしまう工務店が多いかもしれません。
しかし、内製化することで伝えたいことのズレの解消やスピーディーな対応など、他社に負けない広報活動ができると言えます。
③ホームページの更新コンテンツ投稿
ホームページへの流入数をあげるため、ブログなどの更新は必須です。
どの工務店も、コンサル会社やホームページ会社から耳が痛いほど言われているかと思います。
当時、デザイン業務もしないといけない、SNSも投稿しないといけない、そんな中で、何千字というブログを書かなくてはいけないなんて…。
広報はこんなにもつらい仕事を抱えているのかと、悩んでいました。
毎日ブログを書くことは極めて困難だったため、週に〇本書くという目標を決め、ブログのネタも貯めておきながらコツコツと書くことを続けていました。
また、意味のあるブログを書くため、どのワードを多くいれるべきなのか、ヒットしている話題は何か、お客様が知りたいことは何かなどとことん調べ、文章を書いていたので、半日~1日がかりでブログを書いていました。
その結果、数百しかなかったセッション数が、何千、何万とだんだん増えていくようになりました。
実際、ブログからの流入は、その記事を読んだら離脱してしまうということが多いですが、中身を精査し、書く内容を整えていくことで、より反響につながりやすいブログが書けるようになるので、ブログはコツコツと続けるよう努力しましょう。
④ポータルサイトの投稿
自社ホームページとは別に、ポータルサイトへの投稿も行っていました。SUUMOやLIFULL HOME’Sなどのポータルサイトも、反響を伸ばすための媒体なので、多くの工務店が加盟して取り組んでいます。
ですが、反響は来るものの、実際の成約にはつながりにくいというのが、ポータルサイトの欠点です。
ポータルサイトでは、競合他社が多く掲載され、お客様はまとめて資料請求や来場予約などをするため、どうしても自社が埋もれてしまい、反響数が取れるわりには成約率は低くなりがちです。
そのため、ポータルサイトは、成約率で考えるよりも、知名度をあげ、自社サイトへの流入を増やすための媒体だと思って利用し、投資するといいかと思います。
⑤MAツールの運用
インターネットの力を利用し、顧客分析やメール送信などを、自動化してくれる便利なツールがMAツールです。
現役時代もこのMAツールを活用して、顧客育成をしていました。
工務店がよく使うMAツールは、以下のものがあります。
- KASIKA
- MIERUKA
- SATORI
- Zoho
など
広報としては、MAツールを使ってメルマガの配信をしたり、反響経路やサイト閲覧履歴などを確認し、反響を伸ばすために使っていました。
これらのMAツールを活用することで、以前よりだいぶ業務の効率化を図ることができたと思います。
他のスタッフがツールを使いこなせない、理解できないという課題もありましたが、MAツールの会社にサポートしてもらえますので、外部の方に助けてもらいながら、MAツールを使いこなして、効率よく仕事をこなしましょう。
工務店広報のイベント運用 ~計画する~
広報はチラシをつくったり、情報を発信することも大事ですが、イベントのスケジュール管理や計画も大事な広報の仕事です。
- どこで
- 何のために
- 何をするのか
- 広告は入れるのか入れないのか
- 入れるとしたらいくらで何日間やるのか…
など
広報が中心となって、営業や設計の人と話し合い、協力し合いながらすすめていくことが大事です。
「段取り八分、仕事二分」ということわざがあるように、ただ単にチラシをつくったり情報を発信するのではなく、しっかりと段取りをし、目的を明確化し、デザイン業務や広報活動をすることで、より結果が出やすく、質の高い業務ができます。
最近では、見学会のイベント以外に、ワークショップやマルシェ、セミナーや体験会など、様々なイベントを行う工務店が増えてきました。
イベントが増えていく分、段取りが崩れやすくなってしまいますが、意味のあるイベントにするため、段取りはしっかりと行うように心がけましょう。
工務店広報がやるべき本当の仕事は、社会との外交
上記でご紹介した仕事は、工務店広報のほんの一部にすぎません。広報担当がやるべき本当の仕事というのは、会社と社会を結ぶことです。
いわゆる「社外広報」としての役割で、PR(パブリック・リレーションズ)の領域とも言えるでしょう。
会社の存在や、商品などの認知度を社外に発信して認知度を高めて、売上に貢献することを社外広報といいます。
社外広報で大事な仕事はこの3つです。
リサーチ
リサーチは、広報の重要な仕事の一つです。
リサーチとは、調査や研究をするということです。工務店広報の場合、リサーチするべきことはこの2つです。
- 市場
- 競合他社
勝負する商圏で、「どのくらい人口」「どのくらい世帯数」「どのくらい住宅数」など数字を出し、そこから「年収」「年齢」など、どんな消費者がいるのかを把握することが大切です。独自で消費者にアンケートを取ったり、インタビューすることも必要です。
また、競合他社に関しては、競合他社の「HP」「SNS」「資料」「家の特徴」は抑えておきましょう。
競合他社で家を建てた知り合いや友人、家族に話しを聞いたり、モデルハウスに実際に行ってみたり、資料請求をしてみることも、競合他社を知る1つの方法かもしれません。
リサーチをすることで、消費者が求めているものはなにか、他社と比べて自社は何が特化しているのか、どこが違うのかが明確になります。
メディアとの関係構築
自社だけで情報発信をするには限界があり、また自社で発信する情報は、会社視点の情報であるため、信頼性も欠けてしまいます。
そこで、活用してほしいのがメディアです。
メディアとは、マスメディアと呼ばれる、新聞・ラジオ・テレビ・雑誌など、情報伝達を媒介するものを指します。
地元の小さな工務店が、SNSやホームページで、情報を発信するだけで、勝手にマスコミが取材に来たり、取り上げてくれたりすることはほぼありません。
まずは、メディアと直接関係性を構築することから始めましょう。
大手企業の場合、担当の記者が存在しており、すでに関係性があるような会社ばかりですが、中小企業の小さな工務店には、そんな関係性はありません。
自ら関係性を築き、信頼性を築いておかなければ、メディアは、他にも多くの企業との関係性がありますので、興味を持ってもらえず、なかなか相手にしてくれません。
地元の市役所の広報・地域発信雑誌を発行している広告代理店・地元放送局などと関係性を築いておくと、地元に根差す工務店にとって、より効果が得られやすいかもしれません。
プレスリリース
プレスリリースとは、工務店の新しい事業情報や、新しいモデルハウスや商品の情報などを、新聞やマスコミなどの報道機関に対して発表することです。
これも工務店広報として忘れてはいけない大事な仕事です。
プレスリリースの目的は、社会的信頼の獲得です。
メディアが第三者の視点から、価値を認めたものを記事として発信するため、一般の人たちの興味関心を引きやすく、会社の社会的信頼が厚くなります。
ですが、お金を払っているわけではないので、必ずしも、発表した情報を記事にしてくれるわけでもなく、また思った通りの内容を書いてくれるわけでもないので、広告とは違うことを覚えておきましょう。
まとめ
工務店広報がやるべき仕事についてお話しました。
- 「つくる、育てる、計画する」業務
- 広報は社会との外交役
広報がやるべき仕事が曖昧のままだと、成果ややりがいも曖昧になってしまい、広報担当者自身の力が、十分に発揮できない場合があります。
そうならないためにも、広報のやるべき仕事を今一度見直し、明確化しましょう。
また、会社自身も広報がどのように動いてほしいのか、具体的に指導してあげることで、会社全体の生産性や利益向上につながります。
広報が会社にとって最大の武器になるよう、広報のやるべき仕事について、社内で話し合ってみてはいかがでしょうか。