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初心者広報にオススメ、工務店におけるマーケティングを徹底解説
公開日:2022/06/29
最終更新日:2024/10/15
こんにちは。
工務店、リフォーム会社のホームページ集客支援のゴッタライドです。
マーケティング業務が複雑化する中で、広報担当者を採用する工務店も増えつつあります。
しかし、初めて広報部門を立ち上げた場合、どのように仕事を任せたら良いのか戸惑うことも多いでしょう。
本記事は、元工務店広報と対話をしながら、広報初心者の方が一番はじめに学んでおきたい「マーケティング」について分かりやすく解説します。
- 上長がよく口にする『マーケティング』って、何を指してるの?
- 『PR』とか『ブランディング』という言葉も出てくるけど、違いがよく分からない
そんな初心者広報にとって、言葉の意味や定義が分かれば仕事も進めやすいでしょう。
また、会社側の人たちにとっても、この記事を読んで用語を理解できれば仕事の依頼もしやすくなるはずです。
工務店のマーケティングについて、ぜひ理解を深めてください。
工務店広報が知らないとマズイ「マーケティング」とは
マーケティングとは、「モノが売れる仕組みづくり」のことを指します。
商品開発や宣伝、市場分析など、顧客の欲求を満たすために行われる、ありとあらゆる企業活動の総称のことをマーケティングと言います。
少しムズカシイですね。
かんたんに言うと、マーケティングとは、単に「モノを売ること」ではありません。
モノやサービスを企画・開発するところからはじまるのがマーケティングです。
工務店のマーケティングの場合、
「お客様にどんな暮らしを実現したいのか」
「お客様にどのように過ごしたいのか」
「お客様にそれをどんなふうに伝えようか」
を考えることがマーケティングです。
お客様が安定的に獲得できて集客に成功している工務店は、広報が、自然と売れる仕組みをつくり、戦略を立てているのです。
売上がどんどん伸びる?!マーケティングの戦略4Pとは
マーケティングには4つの戦略があります。
- 製品(Product)
- 価格(Price)
- 流通(Place)
- 宣伝(Promotion)
これら4つの頭文字をとって4P と呼ばれています。
「どんな家(商品)をいくら(価格)で設定し、
どこで(流通)販売し、どのように伝えて(宣伝)売るか」
これがマーケティングの戦略です。
これらをしっかりと考えれば、集客で成功するはずです。
それでは、4Pについて1つ1つ詳しく説明していきます。
工務店は何をお客様に提供できるのかを考える。
1つ目の戦略は「製品(Product)」についてです。
「工務店は何をお客様に提供できるのか」を考えていきましょう。
まずはじめに、「製品(Product)」には「形のあるモノ」と「形のないモノ」があり、お客様の欲求(ニーズ)はどちらに向いているのか、ということを考えましょう。
形があるかないかによって売り方やターゲットが異なります。
ここで間違えてしまうと、お客様の求めているものと全く違うものを売ることにつながるので、集客に失敗する原因になります。
よく聞くたとえ話は、
「人はドリル(錐)が欲しいのではなく、穴をあけたいので、ドリル(錐)を買った。」
というお話です。
この人の本当の欲求は、穴をあけることです。
穴をあけるという欲求(形のないモノ)を解決するための手段として、ドリル(形のあるモノ)を買うという選択肢を選んだに過ぎないということです。
ですので、この人に、ドリル(錐)ではなく、穴をあけるための別の道具を提供してもいいかもしれませんし、道具を使わないで穴をあける方法を教えるということでもいいかもしれません。
はたまた、なぜ穴をあけたいのかという、本当の欲求を聞いて、穴をあけずに済むやり方を教えることでもいいのかもしれません。
このように、お客様は、「形あるモノ」を買っていても、欲求(ニーズ)の本質は、「形のないモノ」(サービス)であることがよくあります。
ですので、工務店の場合、
「家が欲しいのではなく、育児や家事が楽になりたい」
「家が欲しいのではなく、家族で楽しい休日を送りたい」
「家が欲しいのではなく、健康に長く暮らしたい」
など、お客様の本当の欲求は何かを考えることが大事です。
お客様は、それぞれの欲求を満たすための手段として、家を買うという選択肢を選んでいるということに注目し、自社の工務店では、一体何を提供できるのかを考えましょう。
どうしたら工務店の利益が上がるのか。
2つ目の戦略は「価格(Price)」についてです。
「どうしたら工務店の利益が上がるのか」を考えていきましょう。
売上を上げるためには、相手によって価格を変える「価格差別」という価格戦略がキホンです。
“差別”という言葉を聞くとあまり良くないことをしていると思われますが、この戦略なしでは、競合に勝つことはおろか、社会に残ることもできなくなります。
多くの企業では、人それぞれの価格の敏感さに応じて価格を変動させる「価格差別」という戦略で利益をとっています。
例えば、ガソリンスタンドで次回の割引券を渡すということや、スーパーで夕方に値下げシールを貼るということなど、これらが価格差別の一種です。
また、入口となる商品の価格を安くして、他の補充商品で価格を高くし利益を出すという「キャプティブ価格戦略」や、原価はそれぞれ違っても、価格は均一にする「マージン・ミックス」など、利益を上げるために様々な価格戦略があります。
価格戦略に関して深堀しすぎると、このブログが長くなってしまいますので、もっと知りたい方はご自身で調べてみてください。
今のご時世では、ウッドショックや戦争などの影響により、家づくりにかかわる材料のほとんどの原価が何倍にも膨らみ、工務店が価格差別するなんて、ムリ!と思われるかもしれませんが、この価格戦略次第で売上が左右されますので、いろんな観点から、利益がどうしたらうまれるのかを考えてみましょう。
どうやってお客様のところへ届けるか。
3つ目の戦略は「流通(Place)」についてです。
「どうやってお客様のところへ届けるか」を考えましょう。
お客様が実際に商品(工務店であれば家)と接する場所は、モデルハウスや事務所、見学会会場などです。
商品(家)が売れるかどうかは、立地・ディスプレイ・POP・動線で決まります。
- どこにお店を構えるのか
- どこにモデルハウスを作るのか
- バーチャルで見れるようにするのか
- どのようにお客様をご案内するのか
- どんな展示物を置くのか
などお客様が成約に至るまでに、商品である家を見せて、その良さをどう届けるのかを考えることが重要です。
どうすれば売れる?伝わる?を考える。
4つ目の戦略は「宣伝(Promotion)」についてです。
「どうすれば売れる?伝わる?」を考えましょう。
商品の売り上げを増やすための様々な取り組みのことを、販売促進(プロモーション)といいます。
商品を表に露出することで認知を増やし、好感を得てはじめてお客様は、商品を買ってくれます。いいものをつくれば売れるという考えでは、通用しません。
しっかりと販売促進(プロモーション)をしていかないと、いい商品であってもなかなか売ることは難しいでしょう。
販売促進(プロモーション)の代表的なものとして、
- 広告
- PR
- SP
- 人販
があります。
広告
広告とは、お金を払って商品の情報を広めてもらう媒体のことです。
代表的なものは、
- メディア:新聞、ラジオ、TV、雑誌など
- SNS広告:Google、Youtube、Instagram、LINE、TikTok、Twitterなど
が挙げられます。
お金がかかりますが、発信する内容や時期を簡単にコントロールできます。
PR
PRとは、パブリックリレーションズの略で、直訳すると、公衆との関係という意味になります。
PRは、アピールする、宣伝するという意味で捉えがちですが、実はそうではありません。
PRとは自社にとって大切な人たち(公衆)と、コミュニケーションもしくは非コミュニケーションを通じて、長期的な関係を構築することです。
また、PRと似たような意味を持つ広報は、PRの一部です。
PRの仕事内容は、広報活動よりさらに範囲が広くなります。
SP
SPとは、セールスプロモーションの略で、直訳すると、売り上げの昇進という意味です。
よく広告とSPは同じと捉えられるのですが、SPは、広告によって認知した後、その先の「購入への動機づけ」を目的としています。
SPとは具体的にどんなことをするのかというと、
- イベントプロモーション
- キャンペーンプロモーション
- デジタルプロモーション
- 店頭プロモーション
- ダイレクトマーケティング
があります。イベントやキャンペーンを企画したり、什器やPOPをつくったり、メルマガもSPの一種です。
人販
人販とは、人的販売のことで、代表的なのは、
- 店頭販売
- 訪問販売
- 試食販売
が挙げられます。
販売スタッフや営業マンが、お客様と対話して販売契約を締結するやり方で、消費者であるお客様と直接話すことができるということがメリットとして挙げられます。
ただ、お客様は、一方的な売り込みは求めていないため、販売スタッフや営業マンには相当の深い知識や高いコミュニケーション能力が求められます。
以上のように、販売促進(プロモーション)には様々な手法があります。
やみくもに何でも情報を出せばいいのではなく、それぞれ何をどの手段で誰に伝えるのかを考えて、売れる・伝わる宣伝をしましょう。
工務店広報がよく間違えやすいブランディング
モノを売るには、マーケティングが必要だと、今までお話してきましたが、インターネットやSNSの普及により、情報が溢れかえる世の中になり、今までの売り方ではモノは売れなくなっています。
大量の情報の中から、お客様に選んでいただくには、モノの良さではなく、モノの価値を伝えないと選んでくれません。そこで、有効的なのが、ブランディングでモノの価値を伝えるということです。
ブランディングとは、お客様に自然と商品や会社のイメージを持ってもらうことです。
競合他社との差別化につながるブランディングの戦略4E
ブランディングには4つの戦略があります。
- 体験(Experience)
- 交換(Exchange)
- あらゆる場所(Every place)
- 伝播(Evavgelism)
これらの頭文字をとって4Eと呼ばれています。
「この工務店ではどんな体験ができるのか」
「この工務店ではどんな価値と交換できるのか」
「この家はどこで買えるのか」
「ユーザーにどう広めてもらうか」
というのを考えることがブランディングです。
それでは、1つ1つ解説します。
この工務店ではどんな体験ができる?
1つ目の戦略は「体験(Experience)」についてです。
「この工務店ではどんな体験ができる?」を考えましょう。
今の時代は、製品(モノ)を売ることから、体験(コト付きのモノ)を売ることにシフトしています。
ただいい家をつくれば売れ、お客様からも選ばれるという時代ではなくなってきています。
では、具体的にどうすればいいのかというと、工務店の場合、家をつくって終わり、売って終わりではなく、長期的にお客様と関わり続けていくということが、ブランディングで成功するカギとなります。
例えば、
- 家での暮らしをより楽しくさせるワークショップに参加できる
- 定期的にDIYキットが送られてきて家をより快適にする家具がつくれる
- リノベーション物件での漆喰塗り体験ができる
などがあげられます。
家を建築中の体験、お引渡しした後の体験をお客様(お施主様)に用意することで、お客様に会社の価値が伝わり、また競合他社との差別化にもつながります。
他にはない体験ができる工務店であれば、自然とお施主様が友人や家族などに広めてくれるため、紹介が増え、広告をしなくても人が集まる工務店になります。
この価格でどんな価値と交換できる?
2つ目の戦略は「交換(Exchange)」についてです。
「この価格でどんな価値と交換できる?」を考えましょう。
まずは、価格と価値の違いについて抑えておきましょう。
価格というのは、モノやサービスの値段のことです。
この価格は消費者であるお客様がどれくらい欲しがっているのかによって決まり、数字で表すことができます。
一方で、価値というのは、モノやサービスが自分にとってどれくらい役に立つのかということです。価値は人の考えや意見、価値観によって変化します。
今の時代では、価格よりも価値の方に重きをおき、お金とその価値を交換しています。
またサブスクリプションやシェアリングサービスなどが普及してきたため、今と昔とでは、お金の使い方や価格の感覚がずいぶん変わりました。
昔は高いブランド品や高級車、アーティストのCDや本などを所有するというように、製品を所有することに対して評価し、お金を消費していましたが、今は、体験や人間関係などの形のないモノに価値を見出し、評価するという考え方に変化しています。
ですので、家をつくり売る工務店の場合、「家本体価格○○円!坪単価○○円!」という価格だけを提示しても、お客様はなかなか納得感を得にくく、成約がなかなかできないという状況になってしまいます。
価格だけでは情報が不十分なので、「価値と対価との交換」を明確にするとともに、お客様の不安をなくすようなコミュニケーションが今の時代では求められています。
自社がつくるモノやサービスが、その価格で、お客様にとって役に立つ、妥当だなと感じていただけるようにしないといけないのです。
どこでも買えて受け取れるか
3つ目の戦略は「あらゆる場所(Every place)」についてです。
「どこでもで買えて受け取れるか?」を考えましょう。
今の時代では、スマートフォンの普及やソーシャルメディア利用の広がりにより、オムニチャネル化が進んでいます。
オムニチャネルとは、企業とお客様の接点となるチャネル(媒体)を連携させ、お客様にアプローチする戦略のことです。
例えば、ユニクロで服を買う場合、店舗に在庫がなかったら、スマホから商品を注文することができ、また、受け取りも、最寄りの店舗や、自宅で受け取ることができるようになっています。
お客様が欲しい商品を好きな時に、好きな場所で受け取れるようにする戦略がオムニチャネルです。
ディーラーという場所と接客によって商売が成り立っていた高価なものである車でさえも、今はスマホだけで購入できる時代になりました。
ですが、家はまだ、スマホで簡単に当たり前に買えるというものにはなっていません。
その中でも、オンラインでの打ち合わせや電子上での取引が少しずつ広まり、工務店のほか、建築業界の中でも取り入れられるようになってきているので、スマホで家が買えることが当たり前になる時代はそう遠くはないかもしれません。
お客様に何を語ってもらいたいか?
4つ目の戦略は「伝播(Evavgelism)」についてです。
「お客様に何を語ってもらいたいか?」を考えましょう。
SNSの普及により、お客様は自由に情報を調べて得ることができ、また発信し、共有することが当たり前になりました。
それによって、企業は、一方的にお客様へ伝える販促だけではモノが売れなくなってきています。
例えば、CMや広告を見てもあまり欲しいと思わなかったモノが、好きなユーチューバーやインスタグラマーが実際に使っていたので、買ったという事例です。
お客様は、企業が発信する販促(広告)よりも、影響力のある個人が行う発信を信じ、モノを買います。
ですので、企業が何を発信するかを考えるのではなく、利用した人がどんな風に語ってほしいのか、伝えて欲しいのかを考える必要があります。
まとめ
工務店広報がはじめに知っておきたいことマーケティングについてお話しました。
- モノやサービスを企画・開発するところからはじまるのがマーケティング
- どんな家(商品)をいくら(価格)で設定し、 どこで(流通)販売し、どのように伝えて(宣伝)売るかを考えること
- マーケティングだけではものが売れないこと
マーケティングやブランディングに関しては、広報担当者を中心に、経営の方や営業マンの方とも一緒に考え実践するべき戦略ですが、なかなかうまくはいきません。
まずは、工務店広報担当者の方が、マーケティングに関して理解を深め、集客のために自社では何をすべきなのか整理してみましょう。