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3C分析で、工務店集客を考える
公開日:2021/09/10
最終更新日:2024/10/15
こんにちは。
工務店、リフォーム会社のホームページ集客支援のゴッタライドです。
コロナ禍による景気の悪化の影響で、デジタルシフトが加速しました。
工務店を取り巻く集客も大きな変化した今こそ、原点に立ち返り見つめ直す機会ではないでしょうか。
そこで本記事では、マーケティング戦略の基礎である3C分析について紹介します。
ホームページ、ブログ、SNSなどのツールありきのマーケティングブームに流されていませんか?
他社の成功事例がそのまま自社に当てはめられる訳ではありません。
今、自社は何をすべきなのか、その優先度や進め方について分かるようになるために、マーケティング担当者として、自社に合った集客方法の立案のためにご活用ください。
3C分析とは
3C分析は、マーケティング戦略や事業計画を作成する際に、現状分析をするためのフレームワークです。
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
3つの頭文字のCをとって、3C分析と言われており、大前研一氏が1980年代に考案したモデルです。
マーケティングを考える第一歩目として、その型にそって考えていけば、ヌケモレがなく、時間は経っても、いまだに有用で重宝されています。
今回は3C分析の目的・メリット、3C分析の進め方や事例をご紹介していきます。
工務店が3C分析をする目的・メリット
10年ほど前までは、他社でうまくいった事例や方法のマネをしていればそれなりに効果が上がりました。
しかしインターネットでの検索が日常化し、消費者が得られる情報が増え、小手先のテクニックを真似ただけのマーケティングは通用しなくなりました。
またチラシやホームページなどを進める際に、事前に3C分析を行い社内共有すれば、施策それぞれに対する反発も減り、スムーズに進められるでしょう。
客観的な現状分析ができる
3C分析は、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの観点から客観的に分析をします。
Customer(市場・顧客)では、地域ごとに、家を建てる顧客のニーズや世帯所得など「市場の違い」を分析します。
そしてCompetitor(競合)では、どの市場において、自社がシェアを多くとっているのか、他社が強者のポジションなのかを分析し、競合にあたる会社をピックアップしましょう。
Company(自社)は、社内だけでなく、社外やお客さまから見た時の自社を評価します。
自社と市場、競合との関連性を明確にしていくことで、客観的に現状分析ができます。
3C分析をすることで、自社に合わないマーケティング施策をしたり、他社の成功事例に振り回されることがなくなるでしょう。
KSF(成功要因)が分かる
KSFとは、Key Success Factor の略で、「成功のための要因」の訳です。
3C分析の結果を元に、どのツールを使って何をするか考えていくのかを考えます。
KSF(成功するための要因)が分かれば、迷いやブレが少なくなり、より経営スピードが上がるでしょう。
市場環境や会社ごとに、KSFは異なります。
一例として、工務店におけるKSFとして、次の要因が挙げられます。
- ブランド力(憧れや安心)
- 価格(費用対効果が高い)
- デザイン(他社にはないおしゃれな家を建てられる)
- 人材(あの人に任せたいという人間性)
- 生産性・業務品質(クレームが無く、スムーズな施工)
などが考えられます。
工務店向け 3C分析の進め方
実際に3C分析を行いたい!と思っても、なかなかフレームワークが埋まらず、手が止まってしまいがちです。
ここでは具体的に、参考にするデータや集め方を紹介し、3C分析の進め方を解説します。
地域密着で年間30棟くらいの注文住宅を建てている工務店をイメージしながら紹介します
3C分析は、Customer(市場・顧客) → Competitor(競合) → Company(自社)という順番で行うのがセオリーです。
ここで1つ大切なポイントが、Company(自社)を最後に着手することです。
自社については、分かっていることも多く、書きやすいため、Customer(市場・顧客)やCompetitor(競合)のような外部要素をスルーして、内部ばかり見て分析してしまう危険があります。
客観的な分析が必要となるため、Company(自社)は最後に着手しましょう。
Customer(市場・顧客)
1番目は「Customer」です。
市場、顧客を分析するにあたって、下記のポイントから整理しましょう。
- 商圏の定義
- 市場規模、推移
- 顧客の定義、顧客のニーズ
- 顧客の購買行動
商圏の定義
建築業のほとんどは全国展開しておらず、地域密着型のサービスです。
そこで具体的にどのエリアで家を建てるか、商圏を明確に決めていきます。
商圏の中にどれだけ自社のお客さまとなる見込み客が存在するかを見ていきましょう。
●市町村ごとの世帯数
県庁などのホームページを見ると、市区町村ごとの人口動態を確認できます。
GD Freak! というサイトでは、市町村ごとの「世帯数の推移」や「人口ピラミッド」などが掲載されています。
世帯数は増加していても、全国的に単身世帯が急増しているので、家を建てる可能性の高い2人以上の世帯数に絞って考えた方がいいかもしれませんね。
出典:岐阜市の人口と世帯
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010050000001021201/17
●市町村ごとの家計データ
世帯数が分かったところで、家計データもチェックしましょう。
LIFULL HOME’S の住まいインデックスというコンテンツには、市町村ごとの収入や支出に関するデータが掲載されています。
大企業の拠点があって、そこだけ住宅予算に差が生じている地域があるケースも見受けられるでしょう。
出典:岐阜市の家計データ
https://lifullhomes-index.jp/info/money-data/household/gifu-pref/gifu-city/
市場規模、推移
注文住宅の市場動向をみましょう
国土交通省が発表しているデータが参考になります。
e-Stat というサイトでは、各種統計データが抽出できるので便利です。
参考
建築・住宅関係統計データ 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/statistics/details/jutaku_list.html
建築着工統計調査 e-Stat
住宅市場動向調査 e-Stat
●新設住宅の推移
建築着工統計調査のデータが参考になります。
注文住宅は、「建築主が自分で居住する目的で建築するもの」と定義されている『持家』に該当します。
e-Stat のデータを元にグラフを作成しましたが、2009年あたりからほぼ横ばいです。
出典:建築着工統計調査(国土交通省)
●市町村別の建築着工数
商圏に絞って、持家の着工数を確認したい場合、都道府県に問い合わせしてみましょう。
岐阜県の場合、下記のようなページがあり、岐阜県内の建築着工統計データ(Excel)がダウンロードできます。
自社の建築棟数を割れば、商圏ごとに自社の市場シェアが算出できるので自社のポジショニングを検討する際の参考にもなるでしょう。
出典:岐阜県内の建築着工統計データ
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/27303.html
顧客の定義、顧客のニーズ
どんな人を対象にするのか、顧客の定義をします。
漠然と商圏だけを絞り込むのではなく、ライフスタイルや世帯年収、土地の有無などによって住宅に求めるものや、工務店選びの基準に差があります。
以下に示す参考データを見ながら、自社の顧客を定義しましょう。
●世帯主の年齢
住宅ローンなど資金調達の点から、30代以下が過半数を占めています。
出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348002.pdf
●世帯年収
世帯年収は、400~600万円と600~800万円がほぼ同数です。
共働きが多いと予想されますが、世帯年収の全国平均は、300万円未満が3割を超えます。
やはり注文住宅を買えるのは限られた人だけだと言えるでしょう。
ただし下記データは全国調査の結果なので、商圏ごとに違いがあるかもしれません。
地域ごとに相場観を考え、顧客の世帯年収を考えるのがおすすめです。
出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348002.pdf
顧客の購買行動
注文住宅を建てるにあたって、どうやって工務店を探し、何を基準に決定しているのかを確認しましょう。
参考になりそうなデータをいくつかご紹介します。
参考
2020年 注文住宅動向・トレンド調査(株式会社リクルート住まいカンパニー)
https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruit-sumai/press/2020/11/2020-1.html
【2019年令和最新データ】
工務店 or ハウスメーカー 5年以内に家を建てた1,079人の本音(エニワン株式会社)
https://www.any-one.jp/shigoto/5513
令和元年度 住宅市場動向調査 (国土交通省)
●住宅建築会社を決定するまでに何社比較しましたか?
消費者が住宅建築会社と契約するまでに、2~5社を比較検討することが多いです。
今までの商談を振り返ってみて、過去の商談は何社と競合していたかを確認し、比較してみてもよいでしょう。
比較検討を避けるマーケティング戦略も考えられるでしょう。
出典:https://www.any-one.jp/shigoto/5513
●比較検討した住宅
次は、住まいづくりを検討するにあたって、注文住宅以外を検討したか?です。
分譲戸建てや、中古戸建ても検討していたユーザーもいますが、70%以上が最初から注文住宅を建てるつもりと回答しています。
出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348002.pdf
●施工者に関する情報収集
そして情報収集は、住宅展示場が根強く、50%以上が該当しています。
出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348002.pdf
●住宅展示場訪問数
ここで注目したいのが、2020年急増した住宅展示場を1社も訪問しなかったというユーザーです。
コロナの影響と思われますが、これからは住宅展示場以外の接点づくりが重要と言えます。
出典:https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruit-sumai/press/upload/2ecfec174684cd2ba596fe4b0c34d95c.pdf
Customer(市場・顧客)に関するまとめ
さまざまな資料やデータを紹介しました。
基本的に、日々の業務で感じておられることとギャップは少ないと思いますが、客観的に見るという点を重視しましょう。
注文住宅を購入するユーザーは、どんなことを検討し、その中でも自社がターゲットとするユーザーはどんな属性を持った人なのかを考えるのが重要です。
Competitor(競合)
競合を分析するにあたって、下記のポイントから整理しましょう。
- 競合の特定
- 競合のビジネス結果、現状
- 競合が顧客から支持されている理由、強みと弱み、経営資源
- 競合のマーケティング戦略、施策
競合の特定
商圏が被る工務店、ハウスメーカーがすべて競合ではありません。
自社の競合は、価格帯や強みにしていること、集客モデルが似ている会社に絞られるでしょう。
情報収集してリスト化を行い、自社にとって競合となる存在かどうかを判断しましょう。
競合を広げすぎると、調査に時間がかかりすぎてしまいます。
一方、競合を限定しすぎると、ミクロでの分析になってしまい、作成する戦略が偏ってしまうので要注意です。
そのため競合は3~5社ぐらい、多くても10社ぐらいに絞りましょう。
競合を探し、特定する方法をいかに紹介していきます。
●営業の現場で競合会社を探す
顧客との商談で、他に検討している先として挙がってくる会社や職人さんから聞く建築会社をリストアップしましょう。
商圏内を車を運転していて、建築現場を見かける会社もリストの対象とします。
●紙媒体で競合会社を探す
フリーペーパーに広告を出している会社や本屋さんで売られている「〇〇で家を建てる本」のような情報誌に載っている会社などをリスト化します。
●ネットで競合会社を探す
「◯◯市 工務店」や「◯◯市 注文住宅」などでキーワード検索して見つかる会社やSUUMOやLIFULL HOME’S、HOUZZ などのポータルサイトに掲載している会社などをリスト化します。
最近では、インスタグラムを活用している工務店も多いので、SNSもチェックしてリストアップしましょう。
競合のビジネス結果、現状
競合の事業を把握するために最も分かりやすいのは、「年間の施工棟数」でしょう。
具体的な数字が難しい場合、その規模を3~5段階で評価してみてはいかがでしょうか?
自社も同様に評価すれば、相対比較の目安になります。
競合が顧客から支持されている理由、強みと弱み、経営資源
競合の会社の規模(売上、従業員数)や、商圏エリア、事業内容(注文住宅以外の事業)、建てている家の特徴(工法、デザイン、技術など)などの視点から、顧客から支持されている理由を考えましょう。
競合のマーケティング戦略、施策
住宅展示場への出展や、モデルハウスの有無、イベント(現場見学会)の開催頻度をチェックしましょう。
またホームページ(SEOの順位、ネット広告の出稿、コンテンツの充実度、SNS投稿)、紙媒体(フリーペーパー広告や情報誌への掲載)などの視点から、競合の集客手法をまとめましょう。
Company(自社)
自社を分析するにあたって、下記のポイントから整理しましょう。
- 自社のビジネス結果、現状
- 自社が顧客から支持されている理由、強みと弱み、経営資源
- 自社のマーケティング戦略、施策
自社のビジネス結果、現状
競合を比較して、自社のビジネスを評価します。
具体的には、年間の施工棟数、商圏、顧客属性、建てている家の特徴、マーケティング施策などの項目で見てみましょう。
自社が顧客から支持されている理由、強みと弱み、経営資源
競合分析のときと同様に、会社の規模(売上、従業員数)、商圏エリア、事業内容(注文住宅以外の事業)や建てている家の特徴(工法、デザイン、技術など)などの視点から、顧客から支持されている理由を考えましょう。
SWOT分析をするのもいいでしょう。
また、ポジショニングマップなどを用いて分かりやすく表現できたらベストです。
自社のマーケティング戦略、施策
競合分析のときと同様に、住宅展示場への出展や、モデルハウスの有無、イベント(現場見学会)の開催頻度、ホームページ(SEOの順位、ネット広告の出稿、コンテンツの充実度、SNS投稿)、紙媒体(フリーペーパー広告や情報誌への掲載)などの視点から、自社の集客手法をまとめましょう。
工務店向け 3C分析の事例
ある地方都市で、年間15棟の注文住宅を手掛ける工務店を想定し3C分析した結果例です。
3C分析の結果、KSFを導き、マーケティング戦略の方向性を示しました。
項目 |
分析内容 |
Customer |
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Competitor |
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Company |
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↓
KSF |
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↓
戦略方向 |
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まとめ
本記事では、工務店が集客・マーケティングを行う上で現状分析に使える3C分析について紹介しました。
Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で分析することで、偏りがなく客観的に現状把握できます。
そのため、3C分析の結果、KSF(成功要因)を考えて、戦略の方向性を決めれば、成果を出すまでのムダを減らしスピード化が図れます。
Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)のそれぞれのポイントも挙げ、工務店の事例を紹介したので、ぜひ参考にしてください。